中国で『ヒトメタニューモウイルス』という感染症が広がっています。月末には人々が大移動する春節の大型連休を控えていて、拡大が懸念されていますが、どんなウイルスなのでしょうか。
■中国では病院に患者殺到
住民
「子どもが風邪みたいで」
「ヒトメタニューモウイルスね。熱や呼吸器疾患の症状が出るとか。子どもはかかりやすいみたい。はやっているようです」
中国当局によると、ヒトメタニューモウイルスは去年11月から流行し、陽性率はインフルエンザに次ぐ、2番目の高さです。
2001年にオランダで発見されたこのウイルス。感染すると発熱やせきなどの症状を引き起こし、高齢者や基礎疾患のある人は肺炎などに重症化する恐れもあります。
世界で最も人口の多いインドや、インドネシアなどアジアの国々でも感染が確認されています。
中国外務省 郭嘉昆副報道局長
(Q.ヒトメタニューモウイルスの感染者が増加しているが旅行は安全か)
「中国政府は法に基づき随時、感染症の情報を公開している。詳細については中国の管轄部門への問い合わせを勧める」
■ヒトメタニューモ 日本でも
日本でも感染者が確認されています。
青山アレルギークリニック 飯野晃院長
「発熱外来をやっていて新型コロナやインフルエンザを鑑別していくなかで検査すると、ヒトメタニューモウイルス陽性が少人数出てくる。去年11月は1人、12月は2人陽性。これは急に現れたわけではなく、去年以降、月単位で1~2人という数」
今の感染者数は例年通りだといいます。
青山アレルギークリニック 飯野晃院長
「最初に熱が出て、せきが出る状態だとはっきり言って区別できない。一般的な発熱外来だとインフルエンザ、新型コロナを優先して調べる。そこで終わり、インフルエンザでも新型コロナでもないということで、普通の風邪だろうと治療されていくパターンが多い」
このウイルスについて、WHO(世界保健機関)は致死率は低いと強調しています。
WHO ハリス報道官
「このウイルスは耳慣れない名前で関心が高まっていますが、新しいウイルスではありません。致死率は極めて低く、亡くなるのは健康リスクが非常に高い人のみです。通常、死に至る病原体ではありません」
中国の感染者数も想定内だとしています。
WHO ハリス報道官
「呼吸器感染症の感染者数は冬に想定される範囲内です。当局によると、病院の利用者数は去年や例年より少ないそうです」
■症状は?日本で流行の可能性は?
ヒトメタニューモウイルスとはどんなものなのか。感染症が専門の大阪大学医学部・忽那賢志教授に聞きました。
(Q.ヒトメタニューモウイルスとは)
大阪大学医学部 忽那賢志教授
「子どもが感染しやすい『RSウイルス』に近い性質で、急性上気道炎(いわゆる風邪)を引き起こし、悪化すると気管支炎など下気道に影響を及ぼすことも。10歳までにほとんどの子どもが罹患(りかん)しますが、大人になっても繰り返し感染する恐れがあります」
(Q.症状は)
大阪大学医学部 忽那賢志教授
「せき・鼻水・発熱など、いわゆる風邪の症状ですが、特に喘鳴(ぜんめい)『ゼーゼー』という呼吸がみられることがあります。もともと喘息のある人や免疫不全、高齢者などは重症化の恐れもあります。ただ、風邪の一種なので過度に恐れる必要はない」
(Q.なぜ中国で増えているのか)
大阪大学医学部 忽那賢志教授
「コロナが流行していたここ5年ほどはヒトメタニューモウイルスの流行がなかった。そのため、免疫力が低下しているのではないか」
(Q.今後、日本でも流行する可能性は)
大阪大学医学部 忽那賢志教授
「日本でもこの5年は同じ状況だったので流行する可能性はあります。ただ、特別な対策があるわけではなく、通常の感染症と同様に、日頃の手洗いや混雑した場面でのマスク着用などが大切」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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