ロサンゼルス近郊の山火事は、3日目になって新たに発生する場所があるなど拡大する一方で、大部分が鎮火に至っていません。
1万棟もの建物に被害が出る史上最悪の山火事は、なぜここまで拡大したのでしょうか。
■1万棟焼失 被害額20兆円超か
温暖な気候が人気で、セレブも多く住む高級住宅街パシフィック・パリセーズ。その面影はどこにもなく、土地の間の仕切りの跡だけが家があったことを感じさせます。
炎は全てを燃やし尽くすまで収まる気配がありません。これまでに約1万棟の建物が消失、10人が亡くなりました。
16年住む自宅に戻った家族は…。
住民
「ここがリビングで、向こうが正面玄関。奥にベッドルームが2つ。奥にメインのベッドルームがあって、そこにシャワーがありました。ここからの眺めが最高でした。花火も見えたし、本当にいい思い出です」
火災は10日もロサンゼルス近郊5カ所で続いています。パシフィック・パリセーズなどの住宅街にまで延焼している場所では、鎮火には程遠い状況です。
終わりの見えない消火活動。経済的な損失は20兆円を超えるとの試算も出ています。
■消火拒む強風 雨不足で乾燥
強い風が空からの消火活動を妨げ、被害を拡大させていきます。
カリフォルニア州消防局 デーブ・ケリー隊長
「あの辺りは乱気流が多く、毎時30~50マイルの強風で、散布の難易度は上がります」
(Q.上空から見た火災の様子は)
「黙示録さながらです」
一時は弱まったものの、週末にかけて風は再び強まる予報で、被害のさらなる拡大が予想されます。前代未聞の規模の火災で、消火に使う水も足りていません。
ロサンゼルス水道電力局 ジャニス・キニョネス局長
「水道システムへの需要が大きく増して、通常時の4倍の状態が15時間続きました」
カリフォルニア州では毎年、夏から秋にかけて山火事が多く発生します。1月に山火事が発生し、その被害が住宅地にまで広がるのは極めて異例のことです。
欧州森林研究所防火管理 リンドン・プロント氏
「あれほどの規模の火災は、1月にはめったにありません。カリフォルニア州の火災シーズンがどんどん長くなっています」
被害の拡大には、温暖化の影響も指摘されています。
去年2月、カリフォルニア州では例年の4倍以上の雨が降りました。雨は洪水などの被害をもたらす一方で、植物にとっては“恵みの雨”。成長が促されるきっかけになりました。
しかし5月以降、気候は一変し、まとまった雨が降らない状況に。乾燥したサンタアナの風も吹きつけて、火災が起きやすくなっていきました。そして、乾燥した植物はそのまま火災が起きた時の“燃料”と化したのです。
欧州森林研究所防火管理 リンドン・プロント氏
「“サンタアナの風”が吹く期間に草木が最も乾燥して、植物の水分含有率(%)が1桁台まで下がります。いわば火災の“燃料”が増えるので、あっという間に延焼しやすくなります」
立ち上る煙の影響で、多くの地域で大気汚染警報が出ています。
住民
「目がヒリヒリして、のどが痛み、せきも出ました。友人は鼻血が出たそうです」
「空気中のスモッグや有害物質が多いので、家が無事でも数カ月は戻ってこられないでしょう」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2025
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