
再開発が進む札幌市で、あえてビルを建てないという場所が狸小路にあります。
その名もずばり「空き地」です。
この空間になぜ人は集まってくるのか、密着しました。
札幌市中央区の狸小路5丁目に、鉄骨とフェンスに囲まれた空間があります。
「空き地」と書かれた大きな看板から恐る恐る中をのぞいてみると…。
芝生で寝そべる人やおしゃべりをする人、スマホを見ている人、そしてクラフトビールを飲む人も。
「完全にチルですね」(専門学校生の男性)
上から見たらこんな感じ。
突如出現した「空き地」になぜ人は引き寄せられるのか?
その答えを求めて、密着取材しました。
札幌の狸小路5丁目に出現した癒しの空間。
その名も「空き地」。
平日は午後3時にオープンします。
「空き地」の写真を撮っていた男性がいました。
「こんにちは」(男性)
「UHBなんですけど『空き地』の取材をしていまして、(きょう)1組目ということで」(UHBスタッフ)
「あー、そうなんですね」(男性)
32歳の会社員。
知人から紹介されて、この日初めて「空き地」に来たといいます。
「靴…土足か。よいしょ。こんな感じでいいんですか」(男性)
「実際に寝そべってみて、どうですか」(UHBスタッフ)
「すごい、ゆっくりできます。青空の下で太陽の光を浴びるっていうのが、セロトニンとか分泌されると思うので、いいですね、すごく。友情なり、親睦を深める場所になると思います」(男性)
オープンから30分が経ち、若者が次々にやって来ました。
「専門学生です。美容師になりたいです」(専門学校生の男性)
19歳の男女3人組。
夢を追いかけ、学校生活を送っているそうです。
「バイトとか、かけもちしていて。睡眠時間も足りないし、みたいな感じで」(専門学校生)
「睡眠は普段、何時間?」(UHBスタッフ)
「僕は3~4時間ですね。寝てないです」(専門学校生の男性)
学校にバイト…。
忙しい毎日のようですが、どうして「空き地」に?
「何も考えなくていい」(専門学校生の女性)
「平和」(専門学校生の女性)
「完全にチルですね」(専門学校生の男性)
以前は場外馬券場や神社などがあったこの場所。
老朽化などのため、2022年秋にビルが解体され、2023年7月「空き地」として生まれ変わりました。
「至る所で再開発が行われていて、大体仮囲いでずっと閉ざしているか、駐車場になっていることが多い。この街のため、商店街のためにはならないっていう思いもあって」(「空き地」オーナー 増永 隆道 さん)
オーナーの増永隆道さん。
この「空き地」でどんなことをしていきたいんでしょうか?
「街と対話をしながら、街づくりをするとか、ビルを造るっていうことを自分の中ではコンセプトとして掲げているので。いずれビルを建てることになると思うんですけれども、新しいビルができた時「テナントで入りたい」と言ってくれたらうれしい。地主としての街に対する責任みたいなものは、生まれ育った街なので感じています」(増永 さん)
「空き地」では週末、映画やグルメのイベントなどが開かれています。
夕方。「空き地」を訪れる人が増えてきました。
ライトを背に、撮影会をしている2人組がいました。
「(Q:何の撮影?)インターンシップで来ていて、それで着物を着させてくれた。着物に興味があって、それで働いてみたいなって思って選びました」(短大生の女性)
着物の会社でインターンシップをしていた短大生。
「空き地」を撮影スポットに選んだそうです。
「素敵です。着たことないので」(短大生の女性)
「お客様にもお勧めしたいと思います」(着物店「美月桜」の女性)
「仕事がやっぱり大変だったりとか、立て込んでいたりすると追われているような感覚になりますよね。そういう意味では(「空き地」は)忘れられる、別世界のような」(倶知安町から仕事で札幌に来た男性)
「(Q:進路希望は?)型枠大工の仕事。建物を造る上で、基礎となる部分をコンクリートとか流してやる仕事なので、大事な仕事だと思います。地域のシンボルとなるような建物を造りたいです」(高校3年生の男性)
将来の夢。
心と体の癒し。
仕事の愚痴。
何もない場所=「空き地」で、人は癒やされ、人とつながっていました。
秋になり寒くなってきたため、今後「空き地」ではこたつを入れる予定で、冬には雪のイベントも開催するということです。
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