南海トラフ巨大地震 被害想定13年ぶりに見直し 死者29.8万人、新たに福島にも津波到達 全国の浸水面積3割増「国民や産業界が本気になって取り組んで」|TBS NEWS DIG

南海トラフ巨大地震について、政府は13年ぶりに被害想定などを見直し、きょう公表しました。新たな想定では、福島県にも津波の到達が予想され、浸水面積は前回の想定に比べ、およそ3割増加しています。

30年以内に80%程度の確率で発生するとされる、南海トラフ巨大地震。甚大な被害が出るとされていますが、前回、被害想定が出されてから10年あまり経過していました。

そこで、政府は専門家らによるワーキンググループで被害想定の見直しを進め、きょう、その報告書を公表しました。

報告書によると、最大クラスの地震が発生した場合、全国のおよそ3割が非常に強い揺れや津波に襲われます。

静岡県から宮崎県の一部で震度7となるなど、24府県600市町村で震度6弱以上を観測。また、▼高知県黒潮町と土佐清水市に34メートル、▼静岡県下田市に31メートルの巨大な津波が想定されるなど、太平洋側の広い範囲で3メートル以上の津波が観測される想定となっています。

南海トラフ地震では津波が来ないとされていた場所も。

記者
「今回の想定では、震源域から400キロ近く離れた福島県でも最大3メートル以上の津波が想定されています」

福島県では、沿岸部すべての市と町に3メートル以上の津波が到達。相馬市もそのうちの一つです。

相馬市民
「(Q.『南海トラフ』聞いたことある?)地震の、関西とかの方のですよね。そういう(津波到達の)イメージは…想像できないかなという感じですね」

東日本大震災以降、津波対策は進めてきたものの、市は南海トラフ地震への対応は、これからだと言います。

相馬市 地域防災対策室 木村幸治 室長補佐
「防災無線・エリアメール等で対応できればいいのかなと。(震災の)後からこちらに来た方には、震災の経験をちゃんと伝えていかなきゃいけないと考えています」

シミュレーションの精度が上がったことにより、人的被害が増える目安とされる30センチ以上浸水する面積は全国でおよそ3割増加。

愛媛県西条市では、前回の想定で最大100ヘクタールだった30センチ以上の浸水面積が見直しにより、1630ヘクタールへと大幅に増加しました。

最悪の場合、被害はどれほどになるのか。想定される死者数は最大でおよそ29万8000人。

これまでハード・ソフト両面で対策が進められてきましたが、前回の想定からわずか1割程度の減少にとどまりました。

能登半島地震で直接死を上回る犠牲者を出した避難所などでの「災害関連死」についても、今回、初めて試算が行われ、最悪の場合、5万2000人にのぼると推計されました。

避難生活を改善するため、愛知県豊田市は段ボールベッドやトイレカーの導入のほか、「着圧ソックス」と呼ばれる特殊な靴下の導入を進めています。

豊田市役所 防災対策課 中島恭佑さん
「豊田市は車の町。避難所に来られる方々が避難所で生活するだけではなく、車中泊を望まれる方もいます。エコノミークラス症候群にならないように予防策として入れています」

経済への影響も甚大で、前回を上回る270兆円あまりの被害が出ると試算されました。国家予算の2倍を上回る額です。

ワーキンググループの主査を務めた専門家は…。

南海トラフ巨大地震対策検討WG 福和伸夫 主査
「既に日本は少子高齢化で、若い人が減っている。しかも経済も右肩下がりになっている。そういう中で甚大な被害を出したら、取り返しのつかないことになる。そのことについて、国民・産業界にメッセージが出されていると思ってほしい」

全員が避難をすぐに開始すれば、津波による死者数を最悪の想定から14万人あまり減らすことができるなどとして、「自らの命は自ら守るという意識をもってほしい」としています。

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