“トランプ関税”で株価大幅下落「日本中の労働者が路頭に迷う」懸念も…石破政権の交渉に暗雲 望みは株価だけ?|どうなる会議#9

日本車に対する25%の追加関税がまもなく発動されます。それに加えて3日発表された「相互関税」への懸念も高まり、日本経済に早くも影響が。3日の日経平均株価の下げ幅は一時1600円を超えて3万5000円を割り込みました。経産省幹部からは「日本中の労働者が路頭に迷うくらいの勢い」と懸念の声も。“トランプ関税”に交渉の余地はあるのか?解説します。(4月2日収録)

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2025年4月2日収録

◇どうなる会議
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0:00 オープニング
0:30 今回のテーマは【自動車関税「どうなる?」】
0:51 「アメリカ製でないすべての車に25%の関税を課す」署名するトランプ大統領
1:16 日経平均株価は一時1500円を超える大幅な下落
2:09 日本国内で影響を受ける人は…衝撃の確率
2:26 エコノミストによると…悲観的な分析とは
3:17 タリフマン
4:02 孫正義氏
5:32 トヨタ自動車「お膝元」の反応は
6:59 トランプ大統領「発言はこれまでも…」
7:18 最近の米世論調査によると 不支持の要因とは
9:02 トヨタと取引する
中小企業社長「どこの会社も暗闇にいる」
10:08 経産省幹部「日本中の労働者が路頭に迷うくらいの勢い」
11:28 トランプ大統領が「政策を見直すきっかけ」とは
12:43 ホンダ 三部 敏宏 社長
13:29 注目すべき点 経済的な焦点では
14:32 政府内の声「いまの石破政権には自分から前に出て関税政策の音頭を取る人がいない」
16:12 4月3日午後1時01分(日本時間)自動車関税発動

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経済部 鳥羽博剛デスク:
先月27日、トランプ大統領が「アメリカ製でないすべての車に25%の関税を課す」と表明しました。その発動が迫る中、景気が減速するのではという懸念がすでに、日本だけでなく世界全体に広がっています。

経済部 戸田舜介記者:
例えば3月31日の東京株式市場では日経平均株価が一時1500円を超える大幅な下落となりました。要因はこの“トランプ関税”。トランプ氏から次々と繰り出される「関税」政策により、景気の先行きへの懸念が強まったためです。

鳥羽:そもそも自動車は日本の輸出品目トップで基幹産業と言えます。関わる産業も多く、その影響は計り知れません。影響はどれくらいの規模感になるでしょうか?

戸田:桁違いの影響が懸念されます。日本自動車工業会によると、日本で自動車関連産業に携わる人の数はおよそ600万人。日本の平均世帯人数はおよそ2人なので、単純計算でも1200万人、つまり日本の総人口の10人に1人が影響を受ける、という計算になるのです。

エコノミストにきくと、株価の値動きと一般の消費者のお財布の動きは一緒に動くことが多いといいます。つまり、株価が下がると消費者の“モノを買おう”というマインドまでもが下がってしまうということです。

あるエコノミストは、今後もトランプ氏の強気な政策が続けば「消費者マインドの悪化を及ぼし、個人消費の減少に繋がる」と指摘しました。つまり、日本経済全体が冷え込むおそれがあるのです。

別のエコノミストは、今回の自動車の追加関税で国の経済力を示すGDP=国内総生産の日本の値を「1~2兆円程度押し下げる」と懸念しています。

鳥羽:トランプ大統領は就任以降、次々と関税政策を繰り出していますが、その狙いはどこにあるんでしょうか?

国際部 森鮎子デスク:
英語で関税を意味する「タリフ」を使って自らを“タリフマン=関税男”と称するトランプ大統領ですが、高い関税で輸入をおさえることで、年々拡大し続けるアメリカの貿易赤字を減らしたいというのが大前提としてあります。

そのため、アメリカに大量の輸出をして巨額の対米貿易黒字をもつ国や、アメリカ製品に高い関税をかける国を「不公平だ」として標的にしているわけです。輸入をおさえて、その分アメリカの国内生産を増やして雇用を生み出す、というのがトランプ大統領の一番の狙いです。

アメリカに製造拠点を取り戻す、雇用を取り戻す、これをアピールしたいので、外国企業がアメリカに新たな巨額の投資を発表する際には、必ず一緒に記者会見をするのもトランプ流といえます。政権発足の翌日に日本円でおよそ78兆円の大型投資を発表したソフトバンクグループの孫正義会長と一緒に会見したほか、台湾の半導体大手TSMCがアメリカにおよそ15兆円を投資する計画を明らかにした際も、ホワイトハウスでTSMCのCEOと一緒に会見しました。

関税政策を打ち出して、外国企業に対しては「輸入関税が引き上げられるのが嫌ならアメリカに工場を建ててモノを作りなさい」と。そうやって投資を呼び込もうという作戦です。

鳥羽:こうしたトランプ大統領の関税政策、アメリカ国民はどう見ているのでしょうか?

森:最近のアメリカの世論調査では、移民政策だけは「支持」が上回っていますが、経済政策、インフレ対策、関税政策は軒並み「不支持」が高くなっています。関税政策で物価がさらに上がることへの懸念が高まっていること、そして株価の下落が不支持の要因になっています。

トランプ大統領は国民のインフレへの不満を原動力に大統領選で勝利しました。公約で関税政策を打ち出していたので、とりあえず今はやれるだけやる、というスタンスですが、来年には中間選挙がありますから、それまでにインフレがおさまらなければどこかで調整せざるをえない局面が出てくると考えられます。

鳥羽:しかし日本の自動車メーカーも来年の中間選挙までトランプ大統領の考えが変わるのを待っていては、その間に、部品メーカーなどいわば下請けに当たる中小企業の経営が死活問題になってしまいますよね。

戸田:トヨタとも取引する愛知県の中小企業を取材したんですが、その社長も苦しさを吐露していました。というのも彼らにとってのお客様=取引先は、トヨタなどの自動車メーカー大手。そこの方針が決まらないから、「今後の動きを見ながら経営判断していくしかない」「あまりに情報がなさすぎてどこの会社も暗闇にいる」「判断がつかない」と。社長だけでなくほかの経営幹部も、「全体的に不透明な状態」「しばらくは情報収集するしかない」と頭を悩ませていました。

それ以上に困惑していたのが、従業員です。
「これからは自動車部品だけでやっていくのは難しいかもしれない」「家族がいるから給料に影響が出るのは心配」「社長に、給料が下がらないようお願いしたい」などの声もありました。

鳥羽:日本ではいまようやく大企業から中小企業へと「賃上げ」ムードが波及してきていますが、それに確実に水を差すことになりますよね。

戸田:ある経産省幹部は「日本中の労働者が路頭に迷うくらいの勢い」「政権なんて吹っ飛ぶ」と警戒しています。

これまで話に上がったトヨタですと、トヨタに関連する自動車関係の企業だけでも4万社以上あるともいわれています。そのトヨタが輸出を控えるとなった場合、自動車関連企業で働く人の給料はもちろん、飲食店や娯楽施設など街全体の経済にも影響を与える可能性があるということです。

豊田市で懸念されている
①トヨタなど自動車関連企業の従業員のお給料が減ること
②それに伴い、街の経済がシュリンク、つまり縮小すること
この2つは今後日本全体で起こる可能性があります。つまり、これは“トヨタ城下町”に限った話では無く、これから日本全体に起こり得ることなんです。

だから経産省も幹部を派遣するなど積極的にアメリカと交渉する姿勢をみせています。

鳥羽:今後、こうした交渉で日本を適用除外にしたりできるのか?

森:トランプ大統領は外国から何を言われても意見を変えることはないとみられていますが、中間選挙をにらんで国内の支持率の低下や株価の下落が続けば政策を見直すきっかけになります。「トランプを止められるのは株価だけ」とも言われています。

一律に関税をかけると言っているなかで、「日本を除外してくれ」と今訴えてもなかなか難しいです。日本としては粘り強く交渉を続けて、アメリカの世論と株価をみてトランプ大統領が「そろそろ緩めざるをえないか」というタイミングを逃さないようにするというのが求められます。

鳥羽:今後、注目すべき点は?

戸田:経済的な焦点は2つあります。

1つめは、トヨタなど大手メーカーが今回の関税にどう対応するかです。アメリカ向けの輸出を減らすのか、現地、つまりアメリカで生産する方向にかじを切るのか。はたまた、関税のかからない“迂回ルート”で輸出するのか。

例えば自動車関税の発表当日、ホンダの三部社長は日本テレビなどの取材に対し、「ある程度想定していたので、我々の決めたシナリオで対応していく」と答えました。しかし、その具体的な方針が示されないと、いわゆる下請けの中小は対応策が取れないのです。

2つめは、経産省を中心に政府がアメリカとどう交渉し、どう対応するのかです。ある経産省幹部は「自動車は日本の重要産業。影響を最小限にすべく交渉していきたい」と話していて、今回の措置から日本を除外するよう働きかけています。

ただ、別の経産省幹部は「政府としてやれることは相談窓口くらいしかないのでは」と諦めムードでした。中国はすでにアメリカに報復関税を行い、トランプ政権を強く批判している一方、石破総理大臣は「あらゆる対応策が選択肢としてある」と述べるにとどまっています。

経済官庁からは、いまの石破政権には、「自分から前に出て関税政策の音頭を取れる人がいない」との声もあり、暗雲が立ちこめています。

鳥羽:対してトランプ政権は日本の石破政権をどう見ているんでしょうか?

森:日本との関係が重要だという認識はトランプ政権内にあります。丁寧に向き合うべき大事な国だという認識だからこそ、日米首脳会談でもトランプ氏は石破総理に対し格別の気遣いを見せました。外相や防衛相など閣僚レベルの会談も行い、着実に関係を積み上げているといえます。

関税だけではなく安全保障やアメリカへの投資など日米関係全体をパッケージとして交渉し、日本との関係を良くする方が「得だ」とトランプ大統領に思わせるためにオールジャパンの態勢で臨むことが今後ますます重要だといえます。

鳥羽:日本政府の交渉力が問われますね。

戸田:そう思います。あるエコノミストも「日本が中国のように報復関税を発動することは考えづらい」としています。つまり、日本は交渉によってなんとか対象から除外してもらうしかない苦しい状況なのです。政府が日本のメーカーとも連携した上で、最善の“妥協点”を見いだせるかにかかっているといえます。

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