方針転換なぜ?トランプ関税「90日間停止」、米中貿易戦争「日本は最悪」日本経済に深刻な影響も【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

アメリカの「トランプ関税」をめぐる混乱。「メイド・イン・ジャパン」として日本の特産品をアメリカに輸出している生産者も困惑しています。

■トランプ氏方向転換なぜ? 関税90日間停止表明

山形純菜キャスター:
アメリカのトランプ政権は日本時間の9日午後1時1分に「相互関税」を課す措置を発動しました。

日本には24%の関税が課されましたが、その13時間後、相互関税の一部上乗せ分を90日間停止すると発表がありました。

なぜ急に方針転換したのでしょうか。

経済評論家の加谷珪一さんによると、▼株の下落による支持率低下を回避したい ▼相手国に時間を与えて、アメリカにとってより良い条件を引き出したいというのが理由だといいます。

90日間の猶予がありますが、それが日本にとってどのような影響があるのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーターの星浩さんによりますと、「日本にとっては“ややチャンス”」であるといいます。

■トランプ氏を説得できる?日本の交渉カードは…

山形キャスター:
どのように交渉していくのかについては、トランプ大統領に関税政策のマイナス面を伝えることが重要だといいます。

トランプ大統領を相手に、そんなことができるのでしょうか。

日本としては、ヨーロッパや周辺諸国とタッグを組んで説得していく。これがうまくいけば追加の関税がなくなる可能性もあるといいます。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回、各国に相互関税を課したことで(トランプ大統領の)支持率が下がりました。

さらに長期金利が上がったので、景気を冷やすということでトランプ氏もたじろいだことは明らかです。そうすると、「トランプ関税はアメリカにとっていいことがありません」という理由を正当化することになります。

日本だけが言ってもあまり効き目はありませんが、ヨーロッパや東南アジアと一緒になり、「トランプ関税を見直した方がいい」と言うチャンスは増えましたよね。

井上貴博キャスター:
これまでトランプ氏独自の理論があり、それに基づいて行動してきたと思いますが、各国は石破総理も含めて、ずっと関税政策のマイナス面を伝え続けてきたわけです。しかし、結局は虫の居所一つで変わってしまう。全く読めないですね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
最終的にはそのマーケットが拒否することが、数字で現れたわけです。それが現実になったので、トランプさんもさすがに少しトーンダウンしてきたのが現実でしょう。

出水麻衣キャスター:
トランプ氏はなぜ長期金利に注目しているのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
トランプ氏は元々不動産屋です。不動産屋は、住宅ローンや長期金利に対して非常に敏感です。目先の短期金利はもちろんですが、長期金利が景気の指標になります。

それに対してトランプ氏は「株が下がったことはもう大丈夫」と言っていましたが、さすがに長期金利がどんどんと上がってきたことに対しては、少しびびったというのが現実だと思います。

■米中貿易戦争「日本は最悪」日本経済に深刻な影響も

山形キャスター:
この関税をめぐっては、アメリカと中国の報復合戦となっています。アメリカは今、中国に対して125%の関税を課していて、一方の中国は84%となっています。この互いに高い関税をかけている状況は、経済評論家の加谷さんによると「日本にとっては最悪だ」といいます。

なぜかというと、例えば日本で作られた工業製品の部品を中国に輸出し、中国で組み立て、アメリカに輸出していたというケースは多いですが、中国とアメリカで関税が高くなり、アメリカとの取引がなくなると、日本の部品を中国がいらなくなり、結果的に日本の経済に深刻なダメージがあるのではないかといいます。

井上キャスター:
チキンレース状態で中国とアメリカはもう引き上げ合戦ですね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
中国はメンツの国です。アメリカが関税を上げたことで中国が引き下がったということになれば「習近平さん何してんだ」と共産党の中でも批判の対象になります。

実は中国は、約120兆円のアメリカの国債を持っています。この国債を、中国が売り始めたらアメリカも困ります。最後のカードを中国がどこで切り始めてくるのか米中対立はお互い引くに引けない状況になりつつあります。

井上キャスター:
現実的に中国がアメリカの国債を売る可能性はありますか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
あると思います。120兆円の10兆円ぐらいを売るだけでも相当長期金利は上がるので、トランプ氏にとっては相当な痛手になります。

出水キャスター:
星さんの見立てとしては中国の方が強いカードを持っているということですか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
中国はアメリカ産のトウモロコシを買わなくてもブラジルから買える。中国は民主主義ではなく選挙がないため、支持率も気にしなくていいという点では、交渉ポジションは中国が強いと思います。

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<プロフィール>
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

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