物価高で与党から「減税案」「現金給付案」、野党からも「若者減税法案」 実現求める声相次ぐワケ【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

アメリカの関税措置や物価高が国民生活にも影を落とすなか、夏の参議院選挙を控えた与野党から“減税”を求める声が強まっています。本当に実現するのでしょうか。

■与党から「減税要求」 3~5万円の現金給付案も

10日、公明党が開いた幹部の会合。冒頭、斉藤代表が訴えたのが、“減税”でした。
 
公明党 斉藤鉄夫代表
「最も効果的な対策は減税によって、家計や企業の負担を直接軽減することだと考えます」

物価高やアメリカの関税措置への対応策として、減税を柱とする経済対策を早急に取りまとめるよう政府に迫ったのです。

さらに、減税が実現するまでは“つなぎ”として、現金給付を検討すべきという考えも明らかにしました。

連立与党の代表から飛び出した減税発言に、自民党からは…

自民党幹部
「参院選に向けた焦りだろう」

自民党関係者
「減税と給付のハイブリッドなんて、お金がいくらあっても足りないよ」

減税には二の足を踏む一方、政府・自民党内で調整が進められているのが、国民に一律3万円から5万円を目安として現金を給付する案です。

自民党関係者によりますと、今週に入り党幹部が断続的に石破総理と会談し、現金給付案を進言したということです。その狙いというのが…

自民党関係者
「“減税封じ”だよ。選挙対策で減税するなら、まだ給付の方がマシだ」

仮に減税をおこなうと元の税率に戻すことが難しいため、1度きりで済む給付のほうがいい、というわけです。

ただ、実施には数兆円以上の財源が必要となる見込みで、補正予算案を編成しなければなりません。

成立させるには、野党の協力を取り付ける必要がありますが、その野党からも減税を求める声が相次いでいます。

■消費税ゼロに「若者減税法案」 野党からも減税要求相次ぐ

減税を求める声は与党だけでなく、野党からもあがっています。

立憲民主党 江田憲司衆院議員
「給付金よりも、所得減税よりも、消費減税だということで訴えて、もう本当に我が意を得たりだというふうに思っております」

立憲民主党の有志の議員らは10日、物価高に対応するため、食料品にかかっている8%の消費税を時限的にゼロにすることを目指し、議論をおこないました。

今後、党の執行部に対し、参議院選挙の公約に盛り込むよう求める予定です。

ただ党内には“食料品の消費税ゼロ”について「減税に見合う効果が出るのか」「給付の方が早い」と懐疑的な声もあり、意見は割れています。

Q.景気後退の対策として消費税減税の 必要性についてどう考えるか?
立憲民主党 野田佳彦代表
「いろいろな対策については、これからパッケージで我々も考えていきたい」

野田代表は参院選の公約を見据えて、消費税や給付も含め党内で議論を行い、今月末までにまとめるよう指示していて、11日から議論が始まります。

さらに、こちらの政党にも減税を求める動きが…

国民民主党は先ほど、30歳未満の所得税を軽減する「若者減税法案」を国会に提出ました。

国民民主党 玉木雄一郎代表
「少子高齢化が進む中で、若者をしっかりと応援していくということが日本全体の元気に繋がっていく」

ただ、法案が成立する見通しは立っておらず、他の野党からは「世代間の対立を煽るだけ」「参院選に向けた単なるパフォーマンス」だと指摘する声があがっています。

■「借金で減税するわけには…」課題は給付案の財源

井上貴博キャスター:
自民党は選挙前のバラマキが好きだなと思ってしまいますけど…

TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
企業の業績が良かったり、賃金が上がると、所得税が増えて税収がある程度見込めるので、その分を還元しようという発想はあります。

これだけ格差も広がっていますので、(物価高対策として、自民党は)3万~5万円を国民一律に現金で給付する(という案を出している)のですが、それでも所得2000万円以上の超富裕層の方には、少し遠慮してもらうということにはなるかと思います。

その後の「減税をどうするか」が、かなり難問です。

出水麻衣キャスター:
“つなぎ”という言葉が本当に「減税」に繋がっていくのか。そして、効果があるのか。

TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
給付金はワンショットでできますが、「減税」となるとコンスタントに財源が必要になります。財源がないまま“借金で減税する”わけにはいきませんので、そこをどのように捻出するのかが非常に難しい課題だと思います。

井上キャスター:
スピード感を持つのは「給付」。その後、「減税」をどうするのか。国民民主党の案では「30歳未満の所得税減」ということで、30歳未満で区切りました。これは現実的に可能ですか。

TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
やろうと思えばできます。しかし、30歳でもお金持ちの人とそうではない人もいます。それから、いわゆる氷河期世代、むしろ40歳後半ぐらいに、非正規で所得の少ない人が多い。

そのため、単純に年齢で区切るのは果たしていいのか。その点が議論になると思います。

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<プロフィール>
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

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