
2日、スーパーのコメの平均価格が発表されました。5キロあたり税込み4260円で、前の週から25円の値下がりです。随意契約によう備蓄米の流通が全国で始まるなか、5キロ2000円台のコメが出回るまで買い控える動きも出ています。
■備蓄米求め…各地で長蛇の列
営業前の名古屋市内のスーパーにできた長蛇の列。その数およそ1000人。お目当ては備蓄米です。
午前8時の販売開始と同時に飛ぶように売れ、1家族1点限りでしたが、用意されたおよそ4200袋はわずか3時間で完売。
大阪でも備蓄米を求めて行列ができていました。中には、前日夜から並んでいるという男性もいました。
「(Q.先頭ですか?)(日曜日)きのうの午後10時から(来た)。できたら2、3回並びたいけどバレたら怒られるから…」
全国で販売が本格化しているのは5キロ2000円前後の“古古米”です。
川崎市では営業前のホームセンターに客が列を作り、整理券が配られるのを今か今かと待っていました。
先頭に並んでいた男性はこのように話します。
「(Q.何時から並んでいる?)午前2時半ぐらい。うちは最寄りの駅が蒲田駅なので(川崎駅まで)歩いてくると1時間ぐらい」
店がオープンし、手渡される備蓄米。先頭で整理券を受け取った男性も安堵(あんど)の様子です。
「とりあえずは無事に手に入って良かったなという感じです」
各地で備蓄米の販売が加速するなか、2日夜に発表されたコメの平均価格は、先月25日までの1週間で5キロあたり4260円と、前週より25円値下がりしました。ただ、依然として去年の同時期のほぼ2倍の高値が続いています。
■“競争入札米”は3000台で販売
2日、広島県の卸売業者の直営の販売所に並べられていたのは、随意契約の備蓄米ではなく、江藤前大臣の時に競争入札で売り渡された“古米”に新米をブレンドした商品。税込み3780円で、先月30日から販売しています。
「まず30袋入荷したのですが、その日のうちに半分は売れた」
子ども連れの女性は…。
買い物客
「備蓄米が入っているもので」
店員
「2000円のではないんですけども、お値段(約)1000円高いんですけれどもおいしくブレンドしているおコメなのでおすすめしていますので」
買い物客
「これを一つください」
店員
「ありがとうございます」
税込み3780円の“競争入札米”を即決。一方で気になるのは…。
買い物客
「2000円台のものが入ってくる予定はある?」
店員
「(随意契約の)申し込みはしているんですけれどもまだちょっと未定なので…」
別の女性客は、今回は買わずに帰ることに。
女性客
「2100いくらじゃない?」
店員
「あれはまだ広島に出てない。広島で安いものが出てるかどうか私はまだ見てないので」
卸売業者の倉庫で、競争入札米の在庫を見せてもらいました。
卸売業者 食協 武信和也社長
「これがすべてです。大体4、5トンだと思います」
この1週間ほどで、36トンあった競争入札米の9割ほどが直営店や取引先のコメ店にわたったといいます。
「値段的には2000円になりませんが、3500円(税抜き)だということで納得してお買い上げいただいているのが現状」
一方で、競争入札米の仕入れに慎重になるコメ店も多く、取引先のうちおよそ2割が取り扱わないことを決めているといいます。
■安い備蓄米出回る 買い控えも
大手の一部で2000円の備蓄米が売り出されるなか、地域の中小スーパーも動きだしています。
2日、精米機の整備に追われていたのは東京、埼玉に店舗を展開する地域密着型スーパーの関係者です。
この企業のコメの年間取扱量はおよそ70トン。今回の随意契約の1つ目の条件である「1000トン以上」には遠く及びませんが、もう1つの条件「精米機能を有する米穀小売店」として随意契約に申し込みました。
申請が通った場を見越し、精米機を2台買い増す準備を進めています。
スーパーマルヤス 松井隆代表
「初めての取り組みでもあるので、スピードを持ってやりなさいみたいな雰囲気もありますので、私どもも乗り遅れないように準備できるとこは準備していくと」
精米したコメを袋詰めして販売するとともに、客に届くスピードを重視した販売方法も検討しています。
「こういった計量カップですね。これでガパッと(玄米を)取って袋に入れてレジにお持ちいただく」
セルフ方式で玄米を販売することで、精米や袋詰めの時間を省こうというアイデアです。
ただ、安い備蓄米が出回り始めたことで、不安材料も見えてきました。
買い物客
「(Q.買うタイミングを迷われている?)そうですね。多分安くなると思うので(買うのを)やめようかと思っています」
特売品の5キロ3778円のブレンド米を前に悩む多くの客の姿が見られました。
「(コメが)2000円で出回るって耳にしちゃうと、もうちょっと待てば手に入るかなと」
すでに“買い控え”が起こっていました。
スーパーマルヤス 草加店
市毛大地店長
「以前だったら飛ぶように売れてしまうところがまだ残っている。金土日でまだ残っている。(コメの売れ行きが)ここ1週間ぐらいはかなり鈍いかなって。(以前の)3分の1ぐらいには減っているかなという感じは体感としてはある」
■小泉大臣「農水省の見立て誤った」
2日の国会でもコメの議論に多くの時間が割かれました。
「生産量が増えているため、コメの量自体は足りている」と強調した小泉進次郎農水大臣に対し、野党は「そもそも生産するコメが足りていないのではないか」と追及。
立憲民主党 石垣のりこ参院議員
「2021年から少なくとも3年連続において生産量よりも需要実績のほうが上回っている。2021年は(需要量より生産量が)マイナス8000トン、2022年は(需要量より生産量が)マイナス21万トン、2023年は(需要量より生産量が)マイナス43万9000トン」
小泉農水大臣
「これは農水省内にも言っておりますが、今まで見立てを誤ったことも事実なんです。『新米が出てくれば大丈夫だ』といって大丈夫じゃなかったわけです」
高騰するコメ価格を巡り、大臣自らが農水省の当初の見立てが「誤っていたことは事実だ」と認めました。
備蓄米の流通が遅れたことについては次のように話しました。
小泉農水大臣
「流通があまりに多層構造になっていますから、なかなか現場に流れない。こういうなかで国民の皆さんが求めるスピード感と効果は表れなかった」
備蓄米がJAなどの集荷業者から小売店へ届くまでに多くの業者が関わっていため、流通が遅れていたという認識を示しました。
石垣参院議員
「生産の量の問題、価格の問題も含めてあまりにも現場に任せすぎた。責任を押しつけすぎた」
小泉農水大臣
「ご指摘さまざまあることは受けとめたいと思います。そのうえで今やろうとしていることは、水田政策のあり方を令和9年度(2027年)以降に向けて大きく転換をしていこうと」
小泉農水大臣は減反政策のあり方などについて、与野党の垣根を超えて議論していきたいと強調しました。
■異を唱える声…森山幹事長「チクリ」と?
一方、永田町では自民党の幹部らがおにぎりを頬張っていました。
自民党 森山裕幹事長
「おいしい」
このおにぎりは週末に販売が始まった備蓄米、2022年産の古古米です。
この備蓄米を巡り、政府与党から異を唱える声が上がっています。
鈴木憲和復興副大臣
「本来国がやるべきことは備蓄を放出することではなくて、すべての国民の皆さんに平等にいきわたる物価高対策をやることだ」
党の“農林族”重鎮からもこのような声が。
自民党 野村哲郎元農水大臣
「小泉農林水産大臣は非常にお父さんに似ていて、あまり相談することなく自分で判断したものをどんどんマスコミに発表していますから。森山先生からチクリとやっていただかないと今後心配でありますので」
「チクリ」とやるよう依頼された形の森山幹事長は午後、農水省を訪れて小泉農水大臣と面会。「チクリ」としたか記者から問われると…。
森山幹事長
「(Q.何か小泉大臣と話をした?)別にそのことをお話ししておりませんが、当然のことを大臣がされたと思っておりますし。これは時間との戦いでしたので、しょうがなかったんだろうと」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年6月3日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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