
先週、番組に届いた劣悪なコメについて放送。すると大阪の主婦から、また別のコメが番組に届きました。パッと見ても大きさや色が違うのが分かります。このコメを選別機にかけたところ、全体の3分の2が規格外に相当する販売には適していないコメだと分かりました。
■安いコメだったが「これはひどすぎる」
番組にコメを送ってきた女性(50代)
「我が家でも、夫がたまたま立ち寄った店で安いおコメを見つけ購入しました」
番組にコメを送ってくれたのは、大阪府内に住む50代の女性です。
「主人から連絡もらって。『新潟産って書いてあるし、国産のおコメみたいよ』ということで買ってきてもらった」
コメのパッケージには「複数原料米」「新潟産5キロ」「令和6年産で精米時期は今年の3月中旬」と記されています。
先月14日に大阪府内の店舗で購入されたコメ。価格は税込みで3228円でした。同じ時期、スーパーでのコメの平均価格は、5キロあたり税込み4220円で、1000円も安い価格です。しかし…。
「炊いても、ほんと何か…。おかゆみたいな。もうドロドロです。びっくり。そうしていたら、たまたまテレビ(モーニングショー)で拝見して…」
先週、番組では視聴者から届いたコメを専門家らに取材した様子を放送しました。
その放送を見た女性が「値段の安いおコメだったけど、これはひどすぎる」として、番組にコメを送ったといいます。このコメの正体は?
■選別の結果…64%が“規格外相当”
番組では、再び送られてきたコメを調査することに。
訪れたのは、東京・浅草橋にある明治18年創業の精米会社「吉田屋」。140年続く老舗の5代目・小林健志さんが番組に届いたコメを見てみました。
「これ売り物になるんですね」
「(Q.そんなレベルですか?)全体的な粒の小ささ、精米後のおコメの色、それと白濁した“シラタ”っていうんですけれども。いくらか入ってしまうのは仕方ないんですが、ちょっとこれは量が量ですね」
小林さんが指摘するのは「白濁したコメ」の量です。本来なら、選別した時にはじかれるものだといいます。
「色がおかしいおコメの粒をはじく設定で、機械にかける」
小林さんが操作しているのは、コメの選別機です。赤外線によって色を判別し、汚れたコメや成熟していない白いコメなどを選別していきます。
「こちらから『良品』、良いもの(クリアしたコメ)が出てきて、側面からはじかれたおコメが出る」
はたして選別の結果は?
「(Q.かなりありますね)かなり出ましたね」
小林さんの所に持ち込んだコメは1320グラムでした。しかし色で選別すると、およそ半数以上の765グラムが色のついたコメに分類され、はじかれました。
小林さんによると、精米する原料を見ていないので断定はできないものの“規格外相当のコメ”だといいます。
「約半分(規格外相当のコメ)ですね。使おうと思ったら“米粉”にしたり。そういった用途向けの品質かなとは思っちゃいますね」
さらに、ここから「粒の大きさ」で選別します。
「電動でふるいにかけて割れてしまった小さなおコメや、ゴミを取り除くための機械」
粒の大きさをそろえるため、機械の中にある篩網(ふるいあみ)にコメを流し、粒の小さなコメや砕けてしまったコメを落としていきます。
2度の選別を経て、「商品」として販売できるレベルのコメは480グラムと全体のわずか36%しかありませんでした。つまり、64%が“規格外相当”のコメだったのです。
「驚いたっていうのと、当店としては、こちらは廃棄になるおコメ。販売してもクレームの種になるので、何もいいことがないおコメですね」
■怒りをにじませるプロ「新潟に対する侮辱しかない」
続いて向かったのが東京・目黒区。
目黒区で50種類以上の国産米を販売し、「五つ星お米マイスター」の資格を持つ、株式会社スズノブの西島豊造代表取締役です。
「新潟産10割」と表記されていた、視聴者から届いたコメを見てもらいました。
「これをみなさんが見ても新潟米と思えない。割れたおコメ、白いおコメ、小さいおコメ、不ぞろい。これが新潟米として売られているということは、新潟に対する侮辱しかない」
「コメのプロ」として怒りをにじませる西島さん。番組ではこのコメと同じ新潟産10割のブランド米を用意しました。
「やっぱり形がそろっていますよね。『おコメ丸まる太っていますよね』という言い方ができる」
右側が視聴者から届いたコメで、左側が新潟産のブランド米です。同じ新潟産10割でも、違いは一目瞭然です。この2つのコメを同じ炊飯器で炊いてみました。
まずは、番組が用意した新潟産10割のコメです。
「きれい」
「まず、ここで(しゃもじを)入れていきます。スッと入れて、切れも良いです」
「最後に持ち上げて、くっついているように見えますけど、サラサラと離れていきます。これが完璧なおコメの状態」
コメの粒が一つひとつ立っていて、ツヤもあり、西島さんも「さすが新潟産」と太鼓判を押します。
一方、視聴者から届いたコメのほうは…。
「ちょっと興味本位よりも、恐怖のほうが強い」
「異物が出てきちゃいましたね」
炊きあがったコメの上に、黒いものがあります。
「ごみのようなものが浮いてきますよね。本来、これはしっかり色彩選別機でもってはじかれていて、この中には残らない」
しゃもじでかき混ぜてみました。
「しゃもじを入れて、上げる時に重い」
「ぼてっとしているんですよ、おコメが」
「さっきのおコメと比べると、(番組用意のおコメは)おコメ一つずつきれいに見えたと思うんです。それが今回(送られたコメ)は白い塊で見えていると思うんですね。それだけ、おコメとコメの間に隙間がない。くっついている」
実際に炊きあがった2つのコメを比較します。
「(左側が)透明度に対して、もち米的な白い白濁した色」
「(Q.違いますね、目視で違う)理由は割れたおコメがお水を無駄に吸ってるからなんです」
■炊いてみると…「大事件になった」
中が透けて見えるガラスの鍋で炊飯すると、その理由が明確になりました。
これまで鍋で何度も炊飯している西島さん。着火して13分ほどで火を止め、あとは蒸らすことで、おいしく炊き上がるといいます。
着火して8分ほどで沸騰しました。そして火を止める13分を前にして突然、西島さんが声を上げました。
「水が足りなくなりました。大事件になった。普通だったら、もっとブクブクした泡が上に上がってくるんですよ」
通常、鍋でコメを炊くと、沸騰した後にブクブクと泡のように蒸気が吹き上がります。しかし、番組に届いたコメは泡はほとんど立たず、みるみるうちに水位が下がっていきます。
「(コメが)割れてるので、どんどんどんおコメがお水を吸ってしまった。結果的に炊き上がるMAXの時に、お水が足りない」
西島さんによると、割れたコメが水分を吸収しすぎたため、他のコメに水分が行き届かない状態になっているといいます。
「割れたおコメが、さらにその粘りを持ってってしまって。おかゆ、おじやに近づいてしまう」
一方、他のコメは水分が足りず、芯の残っている硬い状態で、炊き上がりに大きなムラができてしまったといいます。
西島さんは、憤っていました。
「コメ業界に対しても平気でけんかを売っているの、このコメは。売っちゃいけないコメだから、本来」
■精米業者に取材を申し込むも…電話を切られる
番組が取材したコメのプロ2人が共に「販売してはいけない」と話した、今回のコメ。パッケージの裏面に記載されていた大阪の精米業者に取材を申し込むと、「取材は一切受けられない」として、電話を切られました。
今回、番組にコメを送ってくれた女性は「『おコメが高い、おコメが高い』とずっと言っていた時に、たまたま見つけたから。『国産』で、『新潟』と書いてあるし。でも安かったから…」と話します。
税込み3228円と、スーパーでの平均価格より1000円も安かったコメ。しかし、五つ星お米マイスターの西島さんは、金額以前の問題だと話します。
「これが2000円台だろうが3000円台だろうが、これは詐欺なんですよ。そのレベルのもの。(精米業者の)モラルの問題。たしかに新潟米をすべて集めてますよ。新潟米10割ですよって書いてあったので、全部新潟米なんでしょう。でも、このレベルを新潟米とは言えないですね。新潟米というのは、日本最大のブランド産地ですよね。流通にしても皆さんにしても、新潟米を買っているんだからという意識があります。消費者のほうも傷つけてしまうし、『新潟』というブランドも傷つける。あといくつ出てくるのかね、こんなのが日本中から…。ちょっと恐怖ですね」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年5月29日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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