
ロシアとウクライナによる2回目の直接協議がトルコで行われました。この前日、ウクライナ国境から4000キロ以上離れたロシアの極東などで同時に多くの軍用機が破壊される攻撃があり、衝撃が走っています。
■ロシア戦略爆撃機など41機破壊
空高く、立ち上る黒煙。1日、ロシア・東シベリアのイルクーツク州で撮影されました。
無人機が飛び立つ瞬間とされる映像。そして、ロシアの軍用飛行場で航空機が炎上する様子も見られます。映像でしゃべっていたのは、ウクライナ軍の兵士でした。
「敵の戦略的な飛行場の様子だ。見事な戦果だ」
ウクライナ保安庁はロシア国内で特殊作戦を行い、戦略爆撃機など41機を破壊したと発表しました。与えた損害額はおよそ1兆円に上るとアピールしています。
ロシア国防省によると、攻撃を受けたのは国内の5つの州にある軍用飛行場。北方艦隊のあるムルマンスク州や、ウクライナの国境から4500キロ以上離れたイルクーツク州。さらに、東のアムール州の軍用飛行場も攻撃されたということです。
■奇襲作戦「クモの巣」とは?
ウクライナ本土から長距離ドローンを飛ばしても、完全に射程外とみられますが、どうやって攻撃を実行したのでしょうか?
ゼレンスキ―大統領
「この作戦は1年半以上前から計画されていました。唯一無二の作戦だと断言できます」
作戦名は「クモの巣」。その詳細が分かってきました。使われたのは移動式の木造の小屋です。
その屋根にドローンを隠して敵基地のすぐ近くまで運び、そこから遠隔操作で飛び立ち、ロシアの軍用機を狙ったということです。
軍事の専門家も驚きを隠せません。
東京大学 先端科学技術研究センター
小泉悠准教授
「ものすごく驚いたというのが正直なところですね。ロシア国内まで大量のドローンと破壊工作員が入っていけたことも驚きでしたし、これだけ多数の爆撃機が、いっぺんに破壊されたのも驚き」
今回の映像を見た印象をこう話します。
「ゆっくり狙いを定めながら近づいていっているように見える。翼の中に燃料タンクがある位置を狙っているんだろうなと。よく燃えるように」
破壊され炎上している機体は、核兵器も搭載可能な「Tu-95」と呼ばれる大型の戦略爆撃機です。
いつどこに配置されているのかや、核兵器が近くにないかどうかを探るのに相当時間をかけたのではないかと小泉氏はみています。
■停戦協議直前 なぜ奇襲実行?
では、なぜこのタイミングだったのでしょうか?
日本時間2日夜には、ロシアとウクライナによる2回目の直接協議がトルコで行われました。
協議は1時間あまりで終了しましたが、停戦条件を巡る双方の立場の差は大きく、難航しています。
小泉准教授
「つまりこれは、ロシアに対する抵抗は継続しますよ。ロシアの一番奥地に対してでも、我々は攻撃をかけますよというメッセージでもあると思う。ロシアが押し付けてくるような停戦条件には合意しないという意思を示すような政治的な作戦だったのでは」
今後のウクライナ情勢はどうなっていくのでしょうか?
「これに対してロシアがどう反応するんだろうというのが、例えば、核使用の口実にすることもできなくはない。一方、ウクライナ側の狙いというのは、核使用のデッドラインなんて無いということなんです。だからロシアの核の脅しにいちいちビビらないで、我々を支援してくれということをメッセージとして言っている」
(「グッド!モーニング」2025年6月3日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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