無期懲役確定の男…別事件で異例の裁判 検察側は死刑求刑・弁護側は無罪主張 判決ポイントは【新潟】 (22/11/17 19:31)

8年前、新発田市で当時20歳の女性を殺害した罪などに問われている男の判決公判が18日に開かれます。初公判から約1カ月…死刑を求刑している検察側と無罪を主張する弁護側の全面対決となっている今回の裁判を振り返ります。

【喜納尚吾被告】
「全く身に覚えがありません」

初公判で起訴内容を否認した喜納尚吾被告(39)。

喜納被告は2014年、通勤中の当時20歳の女性が運転する車に乗り込んで連れ去りわいせつな行為をした上で殺害した罪に問われています。

事件から8年が経ち、始まった今回の裁判。そもそも女性の死は事件だったのか事件だった場合、犯人は喜納被告なのかどうかの犯人性が争われ、検察側と弁護側の全面対決となりました。

判決を下す上でのポイントについて刑事裁判に詳しい堀田伸吾弁護士は…

【堀田伸吾弁護士】
「被告人が犯人であることを疑いをはさむ余地がないレベルまで証明に成功したかどうか検察の立証の成功度と言うところがポイントになってくると思います」

【ポイント1:被害者の死因】

【解剖医】
「何者かに水面に押しつけられ溺死もしくは圧迫死した可能性が高い」

検察側は司法解剖の結果から3分~5分間、女性の顔を水没させ溺死または窒息死させたなどとして確定的殺意を持って殺害したと指摘。

一方、弁護側は現場の状況などから事故の可能性が高いと反論しています。

【堀田伸吾弁護士】
「遺体の状況から加害行為があったのかその加害行為があったとして、それが殺意に基づくような内容のものであったのか、この推測も非常に難しい部分が出てきている」

遺体は一部白骨化していて目立った外傷などが見られない中、事件性を判断する上での重要なポイントと言えます。

そして、喜納被告が犯人かどうかに関わる重要な証拠が被害者の車のハンドルから見つかった被害者と喜納被告の混合DNAです。

【ポイント2:混合DNA】

検察側は事件当日に喜納被告が女性の車のハンドルに触れた証拠だと主張。事件直前まで2人が一緒にいたことを示すものだと訴えます。一方、弁護側は混合DNAからは個人の特定ができないと指摘。

【堀田伸吾弁護士】
「仮にそれが被告人のDNAであったとした場合にそのハンドルについていたことと本件犯行をただちに結びつけるものではなくて、他の事情も総合的に考慮して犯行に結びついていくという1つの事情に過ぎないのかなと思われます。そういった意味で客観的証拠に非常に乏しい事件なんだなと思います」

直接証拠がない中、検察側が積み上げたのは多くの状況証拠です。

【ポイント3:目撃者の証言】

検察側は今回の裁判で喜納被告とみられる男を事件現場付近で目撃した人を複数、証人として出廷させました。

【事件現場付近での目撃者】
「左手に雪の山があって、そこから人らしい人が降りてきた雪の壁をまたいでくるのが見えて、ん?と思った」

【現場から男性を乗せたタクシー運転手】
「グレー系のつなぎとスニーカー着用、短髪黒髪。25歳~30歳に見えた」

様々な目撃証言などから犯人は喜納被告であると主張しますが、弁護側は証人によって証言の食い違いなどがあるとしてその信憑性を否定します。

【堀田伸吾弁護士】
「間接証拠、状況証拠による総合的な判断ということになってきた時に、検察官の立証について合理的な疑いが残っていないのかそういったところ厳しくチェックする観点から判断をくだしていただきたいと思っています」

事件から8年が経ち、遺族から語られるのは沈痛な思いです。

【被害者の母】
「無念を晴らすために真実を知らなければならない」

証言台でこう声を振り絞った被害者の母。

【被害者の母】
「死刑を求めます」

遺族が求めるのは「極刑」です。そして…

【検察側】
「死刑に処するのが相当」

検察側は生命軽視が甚だしく更生の余地は無いとして死刑を求刑しました。一方で、一貫して無罪を主張する弁護側。

【喜納尚吾被告】
「私は全く関係していないし、分かることはありません」

最終陳述でも事件への関与を否定した喜納被告。注目の判決は18日午後3時に言い渡されます。

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