
「大災難は7月にやってくる」という予言・うわさを耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。このうわさによって今、日本では海外からの旅行客に影響が出ています。航空会社も日本への便を減らし、中国大使館は、日本への渡航や日本の不動産購入について「慎重に」と呼びかける事態に。専門家は特定の日時に地震が発生すると予知することは不可能で、「科学的な根拠はないデマだ」と指摘しています。
香港・中国本土からの予約が激減した着物レンタル店
RKB 今林隆史記者
「色とりどりの衣装が並ぶ着物レンタル店、海外からの観光客で賑わっていましたが、異変が起きています」浴衣や振袖などが並ぶ福岡市博多区の着物レンタル店。中国をはじめ韓国やタイからの観光客が多く訪れていましたが、今月、香港や中国本土からの予約が激減しています。着物レンタル織 趙超越さん
「6月が結構予約がいっぱい入って。こちらが7月。予約がなくなりました。この前まだあったんですけど、キャンセルになりました」6月はほぼ埋まっていた予約も7月は空きが目立ちます。その原因は・・・着物レンタル織 趙超越さん
「やっぱりうわさの影響があると思います」Q中国の皆さんの間でうわさは広がってるんですか?着物レンタル織 趙超越さん
「そうですね。みんな心配。日本で毎日地震が起こっている。みんな関心持っている」
うわさのきっかけは”漫画”
うわさのきっかけとなったのがこの漫画。たつき諒著「私が見た未来完全版」(飛鳥新社刊)です。東日本大震災を予言したとする作者が見た夢をもとに「本当の大災難は2025年7月にやってくる」としています。中国語圏でもこの「漫画の予言」が拡散し、特に7月5日が危ないと特定するデマが広がっているのです。
香港からの観光客「7月は日本にいること避けたい」
6月下旬、福岡空港に到着した観光客に話を聞いてみると…中国・大連からの観光客
「家族や周りの人から地震のニュースが送られ気を付けてねと言われています。夫はそのニュースを見てちょっと心配しています。保険も加入しました」台湾からの観光客
「台湾もよく地震がありますから。もう慣れています」上海からの観光客
「チケットを取ったからもう来るしかなかったです」香港からの観光客
「7月は日本にいることは避けたいので30日に香港に戻ります」
航空会社も日本への飛行機を減便
福岡空港に週13便運航していた香港航空は、6月は週10便、7月は週7便まで減便。需要が減ったことが理由とされています。
大使館も「日本への旅行や留学は慎重に」
さらに、中国の日本大使館までもがホームページに「日本への旅行や留学については慎重に計画し、不動産の購入は慎重に選択することをお勧めします」と書き込んでいることも不安を増長しているとみられます。
気象台は地震発生「予知は不可能」
そもそも特定の日時に地震が発生するなどと予知することは可能なのでしょうか。福岡管区気象台 山田安之 地震津波対策調整官
「時間と場所と大きさを指定したような地震予知というのは不可能です。科学的に再現性を持って正確な予知に成功した事例というものは、これまで一度もありません」
専門家は「流言の拡散の公式」
地震予知に関する流言・デマが広がりやすい理由はその「重要性」と「あいまいさ」にあると防災心理学の専門家は指摘します。九州大学 杉山高志 准教授
「うわさとかそういったデマの根拠のない話っていうものはその情報の重要性と、その情報の曖昧さが、双方高ければ噂が出回りやすいです」「流言の拡散の公式」。生命にかかわる地震という情報の「重要性」と根拠の「あいまいさ」が大きければ大きいほどうわさが広がっていくというのです。杉山准教授は、地震に関する情報に触れる機会が少ない外国人がデマに惑わされず適切な行動を取ることができるよう情報発信のあり方について講演しました。九州大学 杉山高志 准教授
「地震が予知できるものではないということをしっかりと考えることが大事です。どうしても大事であればあるほど、あいまいであればあるほど広がってしまううわさではありますけれども、そういったものに惑わされずに情報元が何であるのかっていうことをしっかり確かめた上で考える必要があります」
漫画の作者がコメント
うわさの元となった漫画の作者・たつき氏は出版社を通じて「災害時には少しでもお役に立てることがあればと考えておりますので、この関心が安全対策の備えに繋がることを願っております」とコメントしています。
「いくつか当たれば」が占い師の考え方
南海トラフ巨大地震の発生確率が30年以内に80%程度と「予測」されていますが、具体的な日時は示されていません。杉山准教授は、不確かな予知などの情報に対しては根拠を確認することが重要だと強調します。九州大学 杉山高志 准教授
「確からしいことをたくさん言って、そのうちのいくつか当たればいいというのが占い師の考え方で、まさにその1つとして予知夢があるというふうに私は考えています。目の前で繰り広げられている言葉の根拠は一体何なのか、それをしっかりと確かめて、自分で疑って解釈するということが大事だと思われます」
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https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkb/2015369
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