万博工事で女性用トイレの設置要望 「切実なお願い」協会知らず

 2025年大阪・関西万博(4月13日開幕)の工事現場に女性用トイレの設置を望む声が大阪府に寄せられた。

【写真】「これが令和の仕事現場ですか?」 寄せられたメール全文

 日本国際博覧会協会(万博協会)は「女性用トイレはある」とするものの、設置場所や数は把握していないという。「女性の切実なお願い」が届いたのかは判然としない。

 ◇11時間「トイレ行けない」

 大阪府は、日々寄せられる意見や要望について、貴重な提言が含まれているとの考えから「府民の声」として公開している。

 そして、「回答すべきもの」は担当部署に知らせ、府政への反映状況や声への回答などをホームページで紹介している。

 「パビリオンの中で作業している女性」とする府民の声は24年12月6日に寄せられ、今年1月31日にホームページに記載された。

 内容はこうだ。

 <現場には男性用トイレしかなく、女性用トイレがない>

 <トイレに行けるのは、駅に着いた朝7時、仕事が終わって駅に戻る18時ごろ>

 <作業場は極寒で、膀胱(ぼうこう)が破裂しそうになるのを耐えながら仕事をしている>

 最後に、こう訴える。

 <これが令和の仕事現場ですか? 一刻も早く女性用トイレを設置してください。切実にお願いをしたいです>

 ◇声を「伝えていない」

 毎日新聞は2月、この声への対応状況を尋ねた。府万博推進局の担当者は「パビリオン建設の契約主体は府ではない」とし、万博の準備や運営を担う万博協会に問い合わせてほしい、とした。

 万博協会は取材に対し、「工事現場に女性用トイレはある」と答えた。会場に四つある工区の統括施工者に確認し、設計図面に女性用仮設トイレの記載があったとしている。ただ、設置場所や数は「施工者の責任」になるため、把握していないという。

 府は女性の声を万博協会に伝えていない。ただ、万博協会に府職員が出向しており、「声が(万博協会に)届いていない、というわけではないと思う」。

 万博協会は毎日新聞の取材を受けて女性の「切実なお願い」を知ったという。広報担当者は「その女性が会場のどこで働いておられたかによると思うんですけど……」と話した。

 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げる万博は80棟以上のパビリオンが建設される見通しで、10月13日まで開かれる。

 会場の広さは東京ドーム33個分に相当する155ヘクタール。158カ国・地域と9国際機関が参加を予定し、約2820万人の来場者を見込んでいる。

 会場内には、若手建築家が手がけ、解体費を含めた建設費が最高約2億円にのぼる来場者向けのトイレが3カ所設けられる。

 高額な費用から、SNS(ネット交流サービス)などでは「2億円トイレ」として、話題になった。【太田敦子】

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