
22日、吉本興業に所属するタレント6人が、賭博をした罪で略式起訴された。違法にもかかわらず、なぜ手を出してしまうのだろうか?番組では、オンラインカジノで“すべてを失ってしまった”男性を取材した。
■違法とは知らず…1日18時間
オンラインカジノに依存
たつのりさん(仮名・30歳)
「20代のときにハマって。自分の人生をめちゃくちゃにしたもの」
1年前までオンラインカジノをやっていたという、たつのりさん(30)。始めたきっかけは、今から4年前、SNSのおすすめ動画に上がってきたオンラインカジノの実践動画だった。
「コロナ禍で自粛ムードがあるなか、日常が退屈になってきたなかで、ちょうど刺激的なものを見つけた」
たつのりさんが実際に使用していた海外のオンラインカジノのサイトには、日本語で「いつでも安心・安全・楽しい!」と書かれていたり、ボーナスがもらえるなど甘い言葉が並んでいる。
サイトは、ルーレットやテーブルゲームなど、実際のカジノのようなさまざまな種類が遊べるようになっている。
「最初はブラックジャックに1000円賭けたところから始まりました。だんだん増えていって、始めて2カ月で消費者金融に手を出すようになって。100万円ほど借りました」
24時間賭けることができ、金額に制限はない。大勝ちした経験がたつのりさんをオンラインカジノにのめり込ませていった。
「当時はネットで検索しても、海外サイトであれば日本国内から賭けることはグレーゾーンですみたいな書き方をしている。そのサイトを見て安心して始めた」
当時は違法だとは思っていなかったというたつのりさん。始めたころは、1日に2~3時間程度だったプレイ時間は、最終的には18時間にも及び、寝る時以外はオンラインカジノに没頭していたという。
「(サイトを)開かない日はお金がない時だけです。お金があれば常に(オンラインカジノに)入金して開いていました」
しかし、プレイ時間と比例するように借金も膨らみ続けた。そして、たつのりさんはすべてを失うことになってしまった。
■借金1500万円で自己破産
オンラインカジノにハマり、3年間で1500万円もの借金を背負ってしまった、たつのりさん。それでもやめることができなかった。
「オンラインカジノが原因で仕事を失って家も失った。本当にショックを受けたんですけど、ようやくこのオンラインカジノの波から抜け出すことができるのかみたいな安堵(あんど)感も実際感じていました」
会社の金を横領していたことが発覚し、会社を解雇され、住んでいた社宅からも追い出されることになったという。そして、自己破産し、現在は生活保護を受給しながら自らの体験を伝える活動をしている。
「セミナーみたいなのをやっているので、 そういったところで(自分の)体験を話したりとかそういったことをしています。自分にとっても回復の一歩にもなりますし、あとはその経験を聞いて、やばいなと思ってくれる人が1人でも増えればなと思ってます」
■「違法とは認識せず」は4割超
日本のオンラインカジノの実態はどうなっているのだろうか?警察庁による初の実態調査では?
国内での利用経験者は推計でおよそ337万人。オンラインカジノのサイト接続をした人のうち、75.2%もの人が実際にお金を賭けてギャンブルをしていたということだ。
一方で、オンラインカジノを違法だと認識していない人は43.5%にも及んだという。そして、年間の賭け額の総額は、推計でおよそ1兆2423億円ということだ。
このような状況を受け、国会では法改正の議論も行われている。
15日、自民・立憲民主などの与野党は、違法なオンラインカジノの規制強化に向けたギャンブル依存症対策基本法改正案に合意した。この改正案は今国会で成立を目指す方針だ。
では、具体的にどのような改正となるのだろうか?
改正前は、国内からサイトにアクセスしてお金を賭けると、刑法の賭博罪に該当するが、誘導広告が違法かどうかは明確ではなかった。改正後は、国内の不特定の人に対しオンラインカジノサイトへ誘導したりする行為も禁止されることになる。ただし、罰則規定は設けていない。
今回の改正について、オンラインカジノ問題に詳しい静岡大学の鳥畑与一名誉教授は、「明確にオンラインカジノが違法と周知できることは意味があるが、取り締まりの強化を目指すなら、特別法案を作るまでしないといけない」と、もっと踏み込んだ法改正の必要性があると指摘している。
(「ワイド!スクランブル サタデー」2025年5月24日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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