『ドンキ』『アイリスオーヤマ』契約に名乗り…備蓄米“5キロ2000円”実現は【報道ステーション】(2025年5月26日)

26日、コメの価格高騰に対応するため、小泉農林水産大臣肝いりのチームが発足しました。

小泉農林水産大臣
「決して、これ以上の価格高騰を、高止まりをさせず、コメ離れを防ぎ、もって農水省の責任を果たしていく。そのためにどうか皆さんの力を貸してください」

切り札として示されたのが、政府備蓄米の随意契約。これまでの競争入札を取りやめ、国がスーパーなどに、直接、売り渡します。目指す店頭販売価格は、5キロ当たり2000円(税抜き)。需要がある限り、出し続ける考えで、売り渡し先は、年間1万トン以上を取り扱う大手の小売業者です。

小泉農林水産大臣
「国が提示した定価で、毎日(小売業者に)販売する。販売価格については、60キロあたり平均で税抜き1万700円。一般的なマージンを踏まえて試算をすれば、小売価格では5キロあたり2000円程度となる水準」

ただし、従来の備蓄米のように、銘柄米とブレンドすると、単価が上がり、2000円は実現できません。小泉大臣は、今後、3つの価格帯の商品が店頭に並ぶと説明しました。

小泉農林水産大臣
「備蓄米ではない一般的なブランド米の価格と、今まで3回の一般競争入札によって放出された備蓄米がブレンドなどされて、結果として、流通している価格のものと、今回、6月以降に2000円のラインで放出され、棚に並んでいく安い備蓄米と、複数の選択肢を消費者の皆さんに提供できる棚になるのではないか」

懸念がないわけではありません。
その一つが、味。今回、売り渡されるのは、2022年産の『古古米』と、2021年産の『古古古米』です。味に敏感な消費者が、果たして、そうしたコメを手に取るのか。

小泉農林水産大臣
「小売りの皆さんから聞いているのは、高いものでも売れているわけですよ。だから下げるインセンティブがない。なので『古米』『古古米』そして『古古古米』があるけれど、それを消費者の皆さんに、どのように選択いただくかというのは、それぞれ多様な消費者の方の判断があるんだろうと思う」

小売業者は、どう考えているのでしょうか。

ディスカウントストア『ドン・キホーテ』の運営会社『PPIH』。担当者が、オンラインで開かれた農林水産省の説明会に出席していました。

300社以上が参加したこの説明会。スピーカーから、このようなことが聞こえてきました。

農水省の担当者
「(Q.玄米のみの販売も可能か)今回、小売業者に限定しているので、質問の趣旨が消費者に対して、玄米で販売されるという趣旨であれば、大丈夫」

これまでのようにブレンドして良いのかという質問には、こう答えました。

農水省の担当者
「ブレンドはダメとかは申しておりませんので、その場合は、価格帯も含めての判断になるかと」

古古古米の品質に質問が及びました。

農水省の担当者
「低温倉庫に保管されているので、品質的には問題がない」

会社側は、どう受け止めたのでしょうか。

『ドン・キホーテ』運営会社の『PPIH』 初山俊也常務執行役員
「売価においても、やはり競争するべきだと。2000円との話を聞いていますが、それ以下でいけるなら、いきますし。総合ディスカウント事業をうたっていますから、十分ほかで利益をとることができますから、お米に関しては、あまり利益を求めない形でやろうと」

生活用品大手の『アイリスオーヤマ』は、説明会の終了を待たず、契約を申し込むメールを農水省に送りました。

アイリスオーヤマ 田中伸生管理本部長
「できれば、一番乗り目指したいと思う」

ひとまず1万トンを調達するといいます。精米したあとは、銘柄米とブレンドせず、『政府備蓄米』と銘打って売り出すことを考えています。

アイリスオーヤマ 大山晃弘社長
「(5キロで)税抜き2000円でいきたい。(Q.既存のコメとは値段の開きが出るが)今回のコメは、令和4年度産で、古いコメなので、品質面では違うことを、皆さんにご理解いただければと思う」

一方で、中小のスーパーや、街のコメ店のほとんどは、随意契約の対象となりません。『年間1万トン以上を取り扱う』というハードルが、あまりに高いからです。

飯塚精米店 飯塚隆夫さん
「大きい米屋、小さい米屋ありますけど、うちなんかだと、たぶん30トンとか、そういうレベル。1万トンっていったら、300倍ぐらいだから、まず無理。2000円の備蓄米、ネット・スーパーとか大手に任せて、うちみたいな店は、逆においしいお米とか、そういうのを求めているお客に売っていくしかない」

コメ価格の“官製値下げ”には、自民党内から、こんな声もあがっています。

自民党 森山裕幹事長(24日)
「農畜産物というのは、再生産ができる価格で、市場で評価をされるということが大事なことではないかと思う。安ければ良いというものではない」

二期作が行われている沖縄県石垣島。今年は、儲けが出ると試算していました。

山田義哲さん
「今回は、確実に買い取り価格が上がるはずですから、(二期作でも)台風にならない限りは、収穫さえできれば、経費を引いても(利益が)残るんじゃないかという計算が立つのではないか」

その矢先に示された備蓄米の放出。

山田義哲さん
「『コメはもう2000円で出るんだ』と思われたら困るんです。いま、備蓄米で緊急だから、その値段だよっていうのを、ちゃんと言ってくれないと、2000円で売るけども、農家の人を生かすためには(経費が)最低、これだけはかかるよと。これも理解してくれってことも、責任者として言わないと」

◆26日から受付をスタートした備蓄米の随意契約。

随意契約で売り渡しされる備蓄米の価格は、農水省の試算によりますと、今回の備蓄米のみで販売した場合、5キロあたり2160円程度になると想定してます。

これまでの取材でわかっている大手小売業者の動向です。
すでに、随意契約に申し込み済なのが、 大手スーパーの『オーケー』、『アイリスオーヤマ』。また、『セブン&アイ・ホールディングス』『ドン・キホーテ』の運営会社も参加を決めています。

小泉大臣は「早ければ6月上旬から店頭に並べられる」と述べましたが、どんな状況になるのでしょうか。

米の流通に詳しい宇都宮大学の松平尚也助教は「3つの価格が併存、米が三極化する」としています。

これまで普通に流通している4000~5000円台の一般銘柄米などに、今回、随意契約で売り渡された2021年、2022年産の備蓄米が並びます。価格は2160円程度。さらに、これまでの競争入札で売り渡された2023年、2024年産の備蓄米が、今後、店頭に並びます。価格は、3000円台半ばと松平さんは予測していて、こうした三極化になるとしています。

米全体の価格の変動について、松平さんは「2025年度産のコメの買い取り価格が上昇する見込み。一定の需要もあるため、一般銘柄米の価格は高止まりになる見通しだ」といいます。そして、「今回の随意契約では、売り渡し先までの輸送費を国が負担するなど、有利な条件になっている。これまでの競争入札で売り渡された備蓄米を円滑に流通させるにはどうすべきか、補助などを考えるべき」と指摘しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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