
〇十年前 夢中で読んだ『銀河英雄伝』
戦争と平和と政治、そして人の心の在り方
私の思考に深く影響を与えた小説であり、今尚、人々に影響を与え続けている小説でもあります。
Binary Starの中で
「私たちは学ばなかった 傷ついた人々のために」
とありますが、私達人類はいったい何度争えば良いのでしょう。
「binary」とは、文脈に応じて「二元的な」や「二つの対立する」という意味を持ちます。
冷戦が終わってもまた、同じように二つに裂かれる私達。
どの国も国民は、平凡な幸せ、笑い、眠れ、衣食住に不自由のない、ささやかな幸せを願っている筈です。
なのに政治は何故争うのでしょう。
短い歌詞の中に争う事の愚かしさが込められていいるのです。
最近のロシアとウクライナ、イス〇エルとパレ〇チナの戦争には目を覆いたくなる写真や動画がSNSでも見られるため、いかに戦争が酷いものかを文字だけでなく、克明に知ることが出来ます。
8月6日は広島に原爆が投下された日
8月9日は長崎に原爆が投下された日です。
今年の長崎の「被爆79周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」で、イス〇エルとロシアの在日大使は招待されていません。この決定は、現在の国際情勢や各国の立場を考慮したものとされています。
この、イス〇エルを招待しなかった事に反発したアメリカのエマニエル大使が、式典に参加を拒否(彼は父親がイス〇エルの右翼民兵組織「イルグン」のメンバーだったことが知られていますし、エマニエル大使自身もイス〇エルの国籍を持つシオ〇スト…と言われています)
これに加え、イギリス、フランス、オーストラリア、イタリア、ドイツの大使も不参加を表明しました。
日本を除くG7まるまるですね。呆れてしまいます。
エマニエル大使は「政治にしたくない」と発言していますが、まさにこの行動が政治的と言わざる得ません。
この二つの戦争だけでなく、
日本の憲〇改正、緊急事態〇項など、日本でも軍靴の足音が正に聞こえてきていると言った状況ではないかと思っています。
しかし、隣国の中国や共産主義をあまりにも憎む人も多く、憲法改正や自衛隊の憲法への軍隊との明記を望む声も少なくありません。
アメリカも、国が大きく分断し、日本でも同様
正に今、私達は衆愚政治にならないよう、政治にしっかり声を上げ、投票に行かなければならないのだと思います。
『銀河英雄伝説』の主題は
「民主共和制」と「優れた君主による独裁」は、どちらがより人民を幸せにするのか?という事です。
銀河帝国側であるラインハルトはこう言いました。
「民主共和制とは、人民が自由意志によって自分たち自身の制度と精神をおとしめる政体のことか」
自由惑星同盟(民主主義)のヤンは言います。
「私は最悪の民主政治でも最良の専制政治に優ると思っている。」と。
作者の田中芳樹氏は
ヒトラーは政権を取るときには不正をしていない。一番危ないのは、英雄待望論です。社会に閉塞感や将来への不安が蔓延しているところに、超人的な指導者が現れ、方向性を示してくれる。『こうしろ、ああしろ』と命令される方がむしろ安心するという弱さが人間にはあると思う…と語っています。
最悪の民主制(民主政治)は、果たして最良の専制支配に優るのか?
ラインハルトが旧弊の体制を打倒し、支配下で善政を敷けば敷くほど、民主政治より君主制…?と考え込んでしまいます。
そして、現在のプーチンやトランプ、習近平に寄せる人達の期待ってそういう事なんだろうな…と思うのです。
誰か強く正しい人が自分達をマシな方へ引っ張ってくれるのを望んでいるのだと。
リバタリアンのピーター・ティールやカーティス・ヤーヴィンなども民主主義を否定。
しかし彼らは富裕層だから好き勝手出来る訳で、新自由主義経済の現在、庶民から民主主義を取ったらどうなるのか…と思いませんか?
プーチンやトランプを支持する人たちは、強権的な一党独裁や君主政治に本当になって欲しいのでしょうか?
トランプは次の選挙に勝ったら、その次の選挙は無い(永年大統領になる)という発言をしています。
銀河英雄伝でも、民主制の同盟が政治腐敗の揚げ句、専制の帝国にほとんど滅ぼされてしまいます。
その不安が現在あると感じています。
「国民が自分たちで政治家を選び、メディアが世論をつくり、戦争という方向に国や国民を追いつめていく。
近代に入り、国民国家ができてから、戦争での死者が飛躍的に増えた。それまでは国家に対する忠誠はなかったから、戦争で負けそうだと思ったらみんなさっさと逃げ出していた。ところが、国民国家ができたら、誰もが国家に忠誠を誓い、命を捧げなければならなくなった。」
独裁者として思うとおりに軍と政治を動かせるラインハルトに対し、民主主義の理念を守ろうとすればするほど不利な状況に追い詰められていくヤン。ヤンの苦悩は民主主義の苦悩でもあり、民主主義を守る事は非常に困難だという事です。
デモクラシー(民主主義)は古代ギリシアに遡ります。
これもデマゴーグ(大衆扇動家)やソフィスト(知恵の教師、転じて詭弁家)といった人々の台頭で、民主政治の雲行きは甚だ怪しくなり、衆愚政治となり、ソクラテスは冤罪により、501人の陪審が僅差で死刑となってしまいます。
西側の民主主義が愚かな人々や、欲深い人々にによって扇動されてしまうのであれば、現在の東側へ傾倒する人々の気持ちも理解出来なくはありません。
何故なら
現在、完全な共産主義の国は無く、そして民主主義も新自由主義経済(グローバズム)のもと、貧富の格差が大きくなりすぎ、所謂、資本家が搾取している状況です。政府は企業や資本家、富裕層の寄付やパーティー券…
アメリカでもロビイストの存在…
庶民があまりにも苦しむのなら、扇動される気持ちも分からなくもないのです。そして分断…
しかし、実際には、現在扇動しているのはトランプであり、移民によって追いやられた(と感じている)白人至上主義、そして強権国家…というのが現実です。
対して、G7の政治家はエリートの新自由主義経済による金満政治…
どちらかを選べと言うのではなく、本当に選ぶべき政治家を選ぶことが民主主義には大切なのだと思います。
そしてそれが凄く難しい。
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