
アメリカの方針転換に身構えるのは、世界経済だけではありません。ウクライナの頭越しにアメリカとロシア主導で進む一方的な停戦交渉に、ヨーロッパ各国が危機感をあらわにしています。
■ヨーロッパ各国首脳 パリで緊急会談へ
ウクライナ・ロシア担当
アメリカ ケロッグ特使
「(Q.ヨーロッパは停戦交渉の席につきますか?)答えは“ノー”です。私は現実主義者です。それは起こらないと思います」
ドイツのミュンヘンで行われていたウクライナの今後に関する会議で、アメリカの特使が語ったのは交渉テーブルからの“ヨーロッパ排除”です。
アメリカ トランプ大統領
「プーチン大統領もゼレンスキー大統領も、私も和平を望んでいます」
12日、プーチン大統領と1時間半にわたって電話会談を行ったトランプ大統領。ヨーロッパ各国に対して事前に情報共有はなく、今後の交渉もヨーロッパ抜きで進める考えです。
ケロッグ特使
「これまでの交渉担当者は、実際に和平プロセスを実行する能力を持っていませんでした。その結果、交渉は惨めな失敗に終わってきました。私たちは同じ道をたどるつもりはありません」
交渉の場につくのは、アメリカ・ロシア・ウクライナだと述べ、仲介役として主導権を握る姿勢を明らかにしました。
ただ、ゼレンスキー大統領は「招待されていない」ため、現時点で代表団を派遣する計画はないとしています。
フィンランド ストゥブ大統領
「ヨーロッパ抜きで議論や交渉を行うことはあり得ません」
ラトビア リンケービッチ大統領
(ラトビア政府公式ホームページから)
「もし我々が責任を持つ立場にあるならば、ヨーロッパも交渉の場に座らなければなりません」
置き去りにされたヨーロッパは危機感を募らせています。
ヨーロッパ各国の首脳は17日、パリで緊急会談する予定で、アメリカ主導で進む現状への対応を協議するとみられています。
ブルームバーグはトランプ政権が4月20日までに停戦を実現したい考えをヨーロッパ側に伝えたと報じました。
■今月末にも米ロ首脳会談 ゼレンスキー氏焦りも
一方的な停戦交渉に突き進むトランプ大統領。その背景の一つが、ウクライナに眠る莫大(ばくだい)な「レアアース」の存在です。
トランプ大統領
「我々はウクライナと取引しようとしています。ウクライナがレアアースなどと引き換えに我々の支援を確保するという取引です」
NBCテレビは、トランプ政権はウクライナに埋蔵されているレアアースの50%の所有権を求めていると報じています。
しかし、ゼレンスキー大統領はこの提案を拒否しました。
ゼレンスキー大統領
「アメリカが示した文書には、安全保障の具体例が含まれてませんでした。私にとって重要なことは、ウクライナの安全保障とアメリカの投資が結びついていることなのです」
レアアースの所有権については、2022年2月の開戦以来、アメリカがウクライナに提供した武器や支援の見返りだと主張するトランプ大統領。
今後、ウクライナへの支援のために、これまでの支援も含めてその対価を求めるトランプ大統領と、停戦後の安全保障を求めるゼレンスキー大統領。レアアースに狙いを定めた取引は合意に至っていません。
さらに、FOXニュースのインタビューでトランプ大統領は、総額75兆円を超えるレアアースの取引を要求しているとも答えています。
今月末にも米ロ首脳会談が行われると報じられるなか、ゼレンスキー大統領の焦りは日に日に強まっています。
(「グッド!モーニング」2025年2月17日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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