
合成麻薬「フェンタニル」を密輸出する中国組織が名古屋市に拠点をつくっていた疑いを日本経済新聞が報じて、反響を呼んでいます。米麻薬取締局(DEA)が行方を追っている「FIRSKY株式会社」があった名古屋市西区幅下。ここにある住居兼オフィスビルを所有しているのが、金大一氏と劉玲氏の夫妻です。金氏はトヨタ自動車とも太いパイプを持ち、名古屋市の華人の中で知らない人はいない顔役です。
中部日本華僑華人連合会の会長を務める金氏は、日本語やトヨタ式の生産技術「カイゼン」を学びたい中国人にコンサルティングをする会社「MICーT生産性研究所」を経営しています。名目上の代表取締役は吉永雅文氏というトヨタ自動車で「カイゼン」を中国に広めていた元部長が務めています。
この名古屋市西区幅下のビルに30日、行ってきました。インターホンを鳴らすと「うちがスパイ組織だとか、フェンタニルだなんて、とんでもない。日本経済新聞を見てびっくりしています。彼らは都合の良いところを切り貼りしているんですよ。ちょっと下に降りますから」と言って、メガネ姿で30~40歳くらいの男性が玄関のドアを開けました。快活な人物で、こちらが訊いたことに対して、よどみなく答えてくれました。
「夏とはほとんど会ったことがない。僕も(金)社長も忙しいし、1年のほとんどは中国に行っているからね。2階を貸していた。人を介して『事務所を探している』っていうから。ほら、うちの社長は華人連合会の会長のやっていて、顔が広いから…。もうすぐ任期が切れるはずなんだよ。どうしてこんな騒ぎになってしまったのか…」
名刺を渡すと、「金社長は中国に行っていて、次はいつ日本に帰ってくるか分からない」と言います。ただ、こんなことも言いました。
「夏鳳志は2階のオフィスを借りていたんだけど、2階にあるトイレは使うな、と言われていた。また用事もないのに2階に行くな、失礼だから、と言われました。でも僕も社長も夏とは数回しか会ったことがないんですよ」と言いました。
MICーT生産性研究許については、2016(平成18)年ごろ、中国でそれまで部長級として、中国人にトヨタの生産方式「カイゼン」を教えていた吉永氏を招聘して、代表取締役になってもらったものだといいます。
「吉永さんももう歳だから…。70歳を超えているでしょ。もう少し若いころはしょっちゅうこちらへ来ていたけど、最近はほとんど来ない」
「日経新聞を訴えたら、名誉毀損で…って言われるんだけど、コロナ禍の後で、うちも大変だし、忙しいし」
「取材が殺到して大変だったでしょう」と訊くと「いや、ピンポンを鳴らしてやってきたのは、あなたが初めてだよ」と意外な答が返ってきました。日経新聞のスクープ記事が出てから、どこの社もこのビルには取材に来ていないというのです。
スパイの拠点とか、密売組織などといわれていたので、緊張しましたが、(遠くの方で野次馬で来ていた人が数人いたので、何かあっても大丈夫だろう、とインターフォンを押しました)出てきたのは、普通の人でした。
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