
18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、岸田首相はこれまでの方針を転換し、10万円すべてを年内に現金で一括給付することも「選択肢のひとつとして加えたい」と国会で表明しました。しかし、12月ももう中旬。“年内一括現金給付”は本当に間に合うのでしょうか?スタジオで考えます。
■18歳以下への10万円給付
井上貴博キャスター:
自治体の裁量、自由な判断はどこまで認められるものなのでしょうか?
10万円給付をめぐってはまず現金5万円が中学生以下に年内から支給されます。高校生は申請が必要です。その後、卒業・入学・新学期に向けてクーポン5万円相当が支給されるという、現金とクーポンが5万円・5万円に分かれたものになっています。
このクーポンについて「それぞれの自治体の判断で現金に変えてもいいですよ」ということは言われていました。しかし・・・。
松野官房長官(8日)
「それぞれ別の給付措置であり、同時に支給することは想定していない」
つまり当初の予定通り現金とクーポンを5万円・5万円に分けてくださいという官房長官の発言が8日にありました。しかし13日の国会でのやりとりでは年内に一括現金10万円、これも選択肢として加えたいという発言が新たにありました。
■10万円給付 “方針転換”示す
自民党 高市早苗政調会長
「(10万円給付について)地方自治体の負担を軽減するという観点から、準備を考えてもタイムリミットだと感じております」
岸田首相
「年内からでも、先行分の5万円の給付と併せて10万円の現金を一括で給付する形で今回の対策の内容を実行する。こうしたことも選択肢のひとつとして是非加えたい」
■クーポンから現金のケースは・・・
自治体向けに配られていた12月3日時点の資料によると、5万円相当のクーポンを現金で給付することは自治体の判断に任せるとあります。
しかしこれは2022年6月末までにクーポンの給付を開始することができない見込みである場合に限る、という条件付きなんです。この点について山際経済再生相は13日の国会の中で・・・。
山際経済再生相
「条件を設け審査を行うことも考えていない」
では先ほどのような条件は考えたほうがいいのかどうかというのは、よくわからないという現状があるわけです。
■“方針転換”に自治体は
自治体にも取材を行いました。東京23区内のとある区では12月24日に5万円の支給を開始する予定です。
区の担当者
「本当は10万円一括給付がいいと考えていたが、すでに5万円給付で必要な書類などを作成してしまったので困惑している」
10万円一括給付に変更できるか、今度は財務当局と相談しなければならないといいます。必要文書などすべて5万円で印字しているので、それを10万円とするとすべて変えなきゃいけない。これは時間的に間に合うのか・・・という状況だそうです。
■自治体に混乱広がる
岸田首相は13日、「年内からでも現金10万円給付も選択肢の1つ」と述べました。
ところが、同じ日に松野官房長官は「政府としては引き続き、2022年春の給付はクーポンが基本との考え方に変わりはありません」と述べています。
この官房長官と首相の発言をどう取ればいいのか、現金を2回に分けて支給する予定の群馬・太田市の担当者に聞くと・・・。
太田市 担当者
「現金10万円の一括給付は年内しか認められないということなのか?年始以降はやっぱりクーポンでということになるのか、混乱している」
太田市は2回に分けて現金5万円・5万円を考えていましたが、2022年以降現金は認められないのかどうかということで悩んでいるようです。
また、いち早く給付に乗り出した自治体があります。愛知・名古屋市の近くにある大府市です。ここは対象の中学生以下の子どもは約1万人。確かに対象人数が少ないというところはあるのですが、13日、実際に5万円の支給を始めています。
なぜこんなに早く支給できたのか。それは、困っている市民にいち早く届けたいという思いから、11月16日の段階でプロジェクトチームを作り、準備を進めていたのでこのスピードで現金給付を実現することができたということです。
残る5万円相当をどうするのかについて、気持ちとしては現金給付にしたいものの、最終的には国の方針に従うとしています。
ホランキャスター:
ここにきて一括現金でもいけるのかどうかということですが、スピード感を持って準備をしていた自治体は一括10万を受ける制度を今から言われたとしてももう配ってしまいましたというところもあるでしょうし、本当にこの件については二転三転しますね。
メンタルトレーニング指導士 田中ウルヴェ京さん:
議論をしているって意味ではもちろん良いのかもしれませんが、やはりこの年末年始という時期ですよね。どんな自治体もやはり早め早めにいろいろやってしまいたい。もちろん年始明けてからでもいいものではありますけれど、決まってからしか動けないものってたくさんあると思うので、臨機応変に「どうぞやってください」ということであったかもしれませんが、それでも議論があまりに長引きすぎると良くないことの方が出てきますよね。現金10万円でもよかったのではないかなということが出てくるのは当然かなとは思います。スピード重視だとは思います。
ホランキャスター:
岸田首相と松野官房長官が言ってることが13日の午前中で違うというのは気になりますよね。
井上キャスター:
岸田首相と松野官房長官の発言を違うと取るのか、別に同じようなことでどちらも選択肢としてあるのだというふうにとるのか。これも受け取り手次第という形にはなるわけですね。
ホランキャスター:
「こういう選択肢がありますよ」ということをなるべく早く決めていただいて、各自治体に提示していただくことで、やっと自治体も対応できるのかなという感じがしますね。
田中ウルヴェ京さん:
もしクーポンというものにするのであれば、やはり全国でのシステムを設計して、全国どこででもっていうふうにするのであれば別ですけど、地方自治体によって何でもいいですよってことになると横の繋がりができなくなってしまうので、それであったら早めにドンと決定してしまう。つまり、10万っていうふうに現金にしてしまうということも今のところはありかなというふうには考えます。
井上キャスター:
あとは地方分権が大切だと言われている中で、「最終的には地方自治体のみなさんの自由です。選択肢を提示しましたので決めてください」ということもありなのかなというふうに思いますけどね。そうすると現金だけもありということになり、事務手数料も圧縮できますから。(13日17:19)
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