【介護崩壊】ニセコバブルの裏で日本全体に関わる重大な問題が発生・・・もんすけ調査隊(今日ドキッ!2024年4月19日放送)

今年2月、もんすけ調査隊では、
ニセコの物価が高騰しているという情報を得て調査を行った。

調査員
「見てください。カツカレーが3200円です」

ホテルのレストランではカツカレーが3200円、
屋台の天ぷらそばが3500円、味噌ラーメンが2500円など、
確かにニセコエリアで外食の物価が異常に高騰していた。
その一方で・・・

HTMグレッグ・ターナー グループゼネラルマネージャー 
「コロナ前と比較すると50%くらい清掃の給料は上げています」

あまりにも人材が不足していたことから、
冬季の清掃スタッフの時給を1900円~2200円と、
コロナ前から50%アップ。
また、コンビニや牛丼店でも2000円に近い時給で募集していたのだ。

倶知安観光協会 鈴木紀彦 事務局長
「今年は世界的な雪不足もあり、日本の中でもニセコは非常に脚光を浴びた」

ニセコバブルと呼ばれ日本中の注目を集めた、
その陰で”とある問題”が発生していた・・・
調査員は、ニセコエリアの倶知安町に飛んだ。

倶知安町民
「閉鎖するっていうのは厳しい」
「自分も段々、年を取って今も足が痛くて不自由だから困る」

実は去年12月、倶知安町にある
訪問介護事業所のヘルパーステーションが閉鎖、
さらに今年グループホームと就労継続支援も閉鎖する予定だという。

倶知安町民
「働いている人も高齢だし、見てもらう人も高齢だけれども、いずれ我が身で、入るところが段々なくなるなと、地元では入れなくなると思う」

閉鎖した施設からヘルパーのサービスを受けていた工藤さんは・・・

工藤明文さん(71歳)
「前はヘルパーが何回も来てたから弁当を買いに行くことはなかったけど、買い物に行かなきゃならないから」

工藤さん、なんとか他の事業所にサービスを依頼できたのだが、
以前は週3回来てもらっていたホームヘルパーを、
週1回に減らさざる得なかったのだ。
そこで施設を運営していた社会福祉法人に取材を依頼してみると・・・

施設を閉鎖した社会福祉法人
「この件に関して、すべての取材をお断りしています」

今度は、閉鎖した事業所の利用者を引き継いだ
倶知安町社会福祉協議会に話を聞いた。
それにしても、なぜ訪問介護事業所が閉鎖されたのか?

倶知安町社会福祉協議会 初山信一郎 事務局長
「考えられることは何点かあるが、従業員を募集しても人が集まらないのが一つの原因」

倶知安町によると、社会福祉法人は
人手不足と採算がとれないことを閉鎖の理由に挙げたという。
社会福祉協議会でも、一時、時給1500円で募集を出していたが、
この5年間、応募は1件もないという。

倶知安町社会福祉協議会 初山信一郎 事務局長
「国の制度を活用しながら時給単価は上げているが、確かに2000円までは難しい」

もちろん人手不足は介護職だけでない。

倶知安町民
「仕事を頼もうと思っても、山の方が時給が高いので、みんな山に行ってしまう。商店でも人手は不足している」

観光業に関係する時給が上がったことで、
倶知安町全体で人手不足が加速しているというのだ。
また倶知安町では、リゾート開発により地価が高騰しており、
家賃も上昇、それも人手不足の要因になっているという。

倶知安町社会福祉協議会 初山信一郎 事務局長
「国の制度的には、職員の給料を上げるための処遇改善は手当としてはあるが、運営自体は赤字がかさんでいくことが一つの要因」

実は、全国の訪問介護事業所の4割弱は赤字経営だという。
それにも関わらず厚労省は、
この4月から訪問介護の基本報酬を引き下げたのだ。
今後益々、閉鎖される事業者が増えると予想する専門家もいる。

北海道ホームヘルプサービス協議会 斉藤俊子 副会長
「当たり前に介護保険料を支払って、本来、いろいろなことを選択できるはずなのに、今の現状では選択もできないし、希望のサービスを受けることができないのは大変」

さらに今回の事業所閉鎖に伴い深刻な事態も・・・

北海道ホームヘルプサービス協議会 斉藤俊子 副会長
「福祉サービスが少ないことで不安で倶知安町を出ていった方もいます」

この状況を倶知安町は、どの様に考えているのか?

俱知安町 宮崎雄一 副町長
「この度の事業所の閉鎖は、町としても非常に残念な思いがある」

突然決まった今回の事業所の閉鎖に、
倶知安町も危機感を募らせているという。

俱知安町 宮崎雄一 副町長
「介護や障害者の福祉サービスというのは地域生活のためには不可欠。この様なことが起こらないように、できることから取り組んでいきたい」

昨年度から倶知安町では、
介護福祉に関する資格の取得や研修に補助金を出したり、
アルバイトのマッチングサービス会社と連携し、
町内の人手不足の解消に努めているのだが、
具体的な効果が現れていないのが現状だ。
もちろん、この社会福祉施設の破綻は、倶知安町だけの話ではない。

北星学園大学社会福祉学部 安部雅仁 教授
「倶知安と近いような現象が生じ始めているので、全国的に広がる大きな問題だと思っている」

社会福祉の専門家は警鐘を鳴らす。

北星学園大学社会福祉学部 安部雅仁 教授
「今、国の施策として賃金を上げようと、その中で介護報酬点数とりわけ訪問介護の点数下げたので、これは確実にホテル・観光業・飲食業に流れてしまいます」

厚労省は、2025年には介護職が32万人不足、
2040年には69万人が不足すると予想している。
一方で、おととしは新規就労者よりも退職者が多く、初めて減少。
その大きな原因となっているのが、介護職の賃金の安さ。
全産業平均と比べると月7万円近くも少ないのだ

北星学園大学社会福祉学部 安部雅仁 教授
「今のままだと何が起きるのかというと、介護保険料を払うだけ払って、もしかしたら自分が介護が必要になった場合に、十分なサービスが受けられるかという問題にも発展する」

HBCアナウンサー 森田絹子
「VTRにも登場しました北星学園大学の安部教授は、インバウンド需要などで経済が活性化した倶知安町の様な町では、増えた税金の一部を使って、介護職の賃金アップに充てるなどの対策が必要ではないかと指摘しています。」

HBCアナウンサー 堀 啓知
国や自治体の財源は限られているので難しいことはわかりますが、
『介護保険料は払っているのに、サービスは受けられない』という事態は避けたいものです。

調査依頼はこちら↓
http://lin.ee/pYvxEEm
https://www.hbc.co.jp/news/chousatai/

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